いも類には、他にじゃが芋、さつま芋、里芋などがありますが、どれも加熱しなければ食べられませんが、唯一山芋だけが生食することができます。山芋は、里でとれる「里芋」に対し、山でとれるために「山芋」の呼称がついたといわれます。山芋には、長芋、自然薯、大和芋(銀杏芋)、大著などの種類があります。店頭で通常見かけるのは、棒状の長芋か、平べったい大和芋です。ともに原産地は中国で、切って干したものを糖尿病の治療薬「山薬」として用いられています。山芋は、皮をむくと粘りけが出てきます。このネバネバ成分は、ムチンと呼ばれる食物繊維の一種です。ムチンは腸の中に入ると、いっしょに腸内に入ってきた食べ物を取り込んで、糖質の吸収を抑え、その結果、食後血糖値の上昇が抑えられます。
その他の栄養素としては、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB1、ビタミンCなどが含まれています。ビタミンB1は糖質の代謝を促進し、マグネシウムはインスリンの働きを助け、亜鉛はインスリンの材料になります。また、でんぷん消化酵素のジアスターゼを含むため、消化もスムーズです。山芋は加熱すると有効成分が失われるので、生のまま食べましょう。すりおろして麦とろご飯やとろろ汁にしたり、千切りにして和風ドレッシングなどを少量かけるとおいしく食べられます。長芋は水分が多めなので千切りに、大和芋は粘りけが強いので、とろろにするのが向いています。