糖尿病

糖尿病の治療について

2型糖尿病が増える現状をふまえ、血糖コントロールを効果的に行う治療が始められています。糖尿病の治療について紹介していきます。

食後の血糖値コントロールが重要

食後の血糖値
少し前までは、糖尿病の治療は、終日の全体的な血糖値を下げることに重点がおかれていました。また、肥満が糖尿病を誘発することから、一時的に極端な低カロリー食によるダイエットで、短期間で減量を行うこともありました。しかし、このような方法では、食事の楽しみが激減するため、「糖尿病の治療は我慢ばかり」というイメージが定着したのです。しかし、高血糖の治療は、レベルの高いものに変わってきています。血糖コントロールは、食後血糖値の急上昇を抑えることに重点が移りました。健康な人も食後は血糖値が上がります。糖尿病初期の人との違いは、食後血糖値の上昇率の差です。この差を早い段階で抑えるることで、終日の血糖値もコントロールしやすくなります。ケアの特徴としては、治療者側が何かを制限するのではなく、患者側が自分に合う療養のコツを身につけ、QOL(生活の質)を向上していくことです。

インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジン系薬剤)

糖尿病専門医制度
最近は、有効性が高い経口薬も登場しています。血糖コントロールの2本柱は、食事療法と運動療法ですが、これらで効果がみられない場合、薬物療法が行われます。とくに注目される薬は、チアゾリジン系薬剤です。2型糖尿病に多いインスリン抵抗性を抑え、その作用を高める働きがあり、臨床での成果が数多く報告されています。よい薬は、症状の改善に加え、自己療養に行き詰まったときの精神的支えにもなります。また近年は、糖尿病専門医制度によって、より高度な専門医療を受けられたり、糖尿病予備群や未病の段階で適切なケアをする、予防医療の体系化も進んでいます。

薬物療法の行われ方

経口薬には5タイプがあり、患者の症状や薬の効きめに応じて、単独または併用で使われます。経口薬を用いるときは、次の点に注意します。
●食事・運動療法は続ける。●服用時間を守る。●薬を併用する場合は、どの薬かを間違えないよう十分気をつける。●薬を服用後は激しい運動を避ける。低血糖を起こすおそれがああります。●通常、1つの薬を2カ月ほど試し、経過を見ながら効果をみる。

インスリン療法

インスリン製剤を自分で注射することを「インスリン療法」といいます。1型はこの療法が必須ですが、2型ではあまり行いません。しかし、食事・運動・薬物療法で効果が出ない場合は、2型にも必要となり、医師の指導のもと自己注射を始めます。

薬物療法に使われる5タイプの経口薬

高血糖治療に使われる飲みぐすりは5種類に大きく分けられます。

①スルホ二ル尿素(SU)薬

トルブタミド、クリベンクラミド、クリメピリドなど

第一世代薬から第三世代薬まで、約50年の歴史を持つ薬。膵臓β細胞を刺激し、インスリン分泌を促進します。

②ピグアナイド(BG)薬

塩酸メトホルミン、塩酸プホルミン

肝臓での糖合成を抑え、消化管からの糖吸収を抑制します。

③α-グルコシターゼ阻害薬

アカルボース、ボクリボース

小腸での糖の吸収を遅らせ、食後血糖値の急激な上昇を抑えます。

④チアゾリジン薬

塩酸ピオグリタゾン

インスリン抵抗性を改善し、血糖値を下げます。

⑤速効型インスリン分泌促進薬

ナテグリ二ド、ミチグリ二ドカルシウム水和物

膵臓β細胞上に働きかけてインスリン分泌を促し、服用後短時間で血糖値を下げます。

予防医療

生涯にわたる健康作りのサポートを行う「予防医療」

糖尿病予備群の段階で療養を開始すれば、比較的早く、血糖値が正常な状態に戻ります。こういう疾病予備群の段階から適切な治療を施し、生涯にわたる健康作りのサポートを行う「予防医療」が、注目を集めています。

メディカルフィットネス

「メディカルフィットネス」は医療(メディカル)と運動(フィットネス)を中心とする連携医療です。ユーザーは、体の状態・病気の危険因子等に関する検査・測定を受け、医師がそれをもとに治療・運動プログラムを処方します。必要性や要望に応じて、食生活指導、漢方、アロマセラピー、スパなどの療法をプラスし、総合的な医療プログラムによって健康の回復・維持・増進をはかります。2型桁尿病のさらなる増加が予測される現在、未病段階からの予防医療の重要性がますます高まっています。