中国では昔から、こんにゃくが「消渇」に効果があると考えられています。消渇は喉の渇きや多尿をともなう症状をいい、東洋医学での糖尿病の呼び方です。こんにゃくは、97%が水分、残り3%の固形部分のほとんどが、食物繊維の一種グルコマンナンです。グルコマンナンはアルカリ性になると凝固する性質があり、その性質を利用してこんにゃくが作られます。ノンカロリーなので、満腹感をどれだけ食べても、こんにゃく自体の摂取カロリーはゼロです。また、食べ応えもあるので、カロリーを制限せざるを得ない糖尿病食の食品としては、理想的なものです。こんにゃくのパワーを表す言葉に、「おなかの砂おろし」があります。これは、体内に入ったグルコマンナンが、腸壁にたまった宿便や不純物、腸内の有害物質や老廃物をからめとり、体外に排出することを語ったものです。グルコマンナンのこの作用は、腸での糖質の吸収にも働き、血糖値の上昇を抑制します。
また近年、大阪大学医学部の臨床実験で、こんにゃくがインスリン分泌を促進させるという研究結果が報告されました。これは、こんにゃくが消化器官を通過するときの物理的刺激によって、消化管ホルモンが血液中に放出され、そのとき血糖値が高くなっているとインスリンの分泌が促進されるというものです。こんにゃくだけで高血糖が改善されるとは言い切れませんが、さまざまな効能がある健康食品なので、ぜひ毎日の食事に取り入れましょう。