糖尿病

肉について

糖尿病の食事で目の敵にされがちな肉。食べ方を変えれば療養中でも味わう事が出来ます。肉の調理法・食べ方について紹介していきます。

赤身肉も適量なら大丈夫です

肉
ひと昔前まで、「糖尿病になると、肉が食べられなくなる」と、誤解している人もいました。糖尿病食に関する理解が少しずつ広まり、現在では、「肉も食べていい」と認知されていますが、量や調理法については、やはり見直しと改善が必要になります。一般に、糖尿病や糖尿病予備群の人には、肉が大好物というパターンが多く、長年にわたる動物性脂肪・動物性たんばく質のとり過ぎが、高血糖の大きな要因となっています。糖尿病教室の食事指導などでは、肉類のうち、飽和脂肪酸が多く含まれる牛肉、肩ロースなどの豚肉、ハム、ソーセージなどは、ひかえるようにと言われることがあります。それらに代わってすすめられるのが、豚ヒレ肉や豚もも肉、鶏のささ身やむね肉などの白身肉です。その理由は、飽和脂肪酸が多い肉を食べると、血中のLDLコレステロール値が増え、動脈硬化を促進するからです。たしかに、これは配慮しなければならないことですが、合併症として腎症を併発するにいたっていなければ、適量の赤身肉をとることは、それほど問題にはなりません。肉だけでは血糖値はそれほど上がらず、脂肪といっしょに摂取することで上昇するので、低脂肪調理を意識することです。1回の食事でとる量は100g弱とし、高品質の食材を選び、精神的な満足感を高めるようにしましょう。

肉の栄養価

肉は、筋肉や臓器など体を作る主成分である良質のたんばく質を多く含み、脂質やビタミンも豊富に含まれます。たんばく賢が不足すると、体力や免疫力の低下などを引き起こすので、一定の量をとる必要があります(たんばく質の1日の摂取基準量は、成人男性60g、成人女性50g。肉のほか、魚介類、大豆製品、卵、牛乳などからもとれる)。ただし、摂取過剰になると、腎臓に負担がかかり過ぎ、腎機能障害が起こりやすくなります。

肉の食べ方・調理法について

肉を食べるときの注意点

●食物繊維が豊富な野菜を150g以上一緒に食べます。肉を食べる前に野菜をその半分量以上食べておくと、食後血糖値の上昇を抑制できます。野菜のほか、納豆などのネバネパ成分を含む大豆製品、海藻類を副菜とするのも効果的です。
●肉は、ゆっくりよく噛んで食べます。
●「昼食に肉を食べたら、夕食は魚介類」というように主菜を変え、肉ばかりが続かないようにします。
●牛・豚の脂身と鶏肉の皮は、コレステロール値を上昇させて動脈硬化を進行させるので、なるべく食べないで残すようにします。
●トンカツや串揚げなどの揚げ物はひかえます。食べたいときは、ひとロサイズとし、2~3個で我慢しましょう。
●肉とアルコール類は、過食の相乗作用をもたらします。肉をあと1枚だけ、ビールをあと1杯だけと考えず、最初に決めた量を食べたら、箸を置きましょう。
●焼き肉などを大勢で囲むときは、自分の食べた量が把握しにくくなるので、最初に適切な量を決め、その量を超えたら肉をやめ、野菜など肉以外の食品をを食べましょう。

肉を調理するときの注意点

●フッ素樹脂加工のフライパンを使って、油の使用量を抑えます。
●グリルパンや焼き網を使うと、肉の脂を落としやすくなります。
●調理中、フライパン上に出てきた脂はキッチンペーパーで拭き取ります。また、煮物や汁物では、こまめに浮き出た脂やアクを取り除きます。
●揚げ物にする場合は、できる限り衣を薄くします。
●蒸したり、ゆでたりの調理法を中心にすると、余分な脂が自然に除けます。

羊肉について

羊肉に含まれる栄養成分カル二チンが体脂肪を燃やします

近年は、羊肉の流通態勢が整えられ、一般のスーパーでもよく見られるようになりました。羊肉には、健康を維持するための栄養成分が豊富に含まれています。そのなかでも最も特徴的な成分が、アミノ酸の一種カル二チンです(マトンでは100g中約200mg、生後1年未満のラムでは約100mg)。カル二チンには、体脂肪の燃焼を促進させる働きがあり、蓄積した内臓脂肪を燃やし、日々の運動効果を高めます。また、カル二チンが不足すると、疲労感が高まるという研究もあり、生活習慣病に悩む世代にとっては、肥満・疲労解消の両面から効果的な栄養素です。さらに、羊肉のカロリーは牛肉の約3分の2程度です。脂肪量も牛肉や豚肉に比べて少なく上に、羊肉の脂肪分の融点は44℃と高いため、体内では溶解・吸収されにくく、体に脂肪として蓄積しにくいという特徴があります。