増加し続ける糖尿病患者
食生活の欧米化・不規則な生活習慣が原因に
日本の糖尿病患者は年々、急激に増加し続けています。患者数の急激な増加の背景には、食生活の欧米化による糖分のとり過ぎや、過食傾向や不規則な食習慣、交通権関の発達や電化製品の普及による運動不足などの生活習慣であると考えられています。
糖尿病は自覚症状が把握しにくい
放置せずに適切な対処・治療で改善を
「たぶん大丈夫だろう」から危険シグナルは始まる!
健康診断で血糖値の高さを指摘されても、「血糖値が高いくらい大丈夫だろう」と思ってしまう人が多くいます。高血糖の初期には、自覚症状がほとんどなく、自分で危機感を抱かないことから、こういう思い込みと症状の放置が起こりがちになります。しかし、高血糖を放置しておくと、全身の血管や神経がおかされながら糖尿病に移行し、多くの人が、「もっと早くから気をつけていれば…」と後悔するのは、病気の最終段階に近くなってからです。また、「糖尿病になってから療養する」という人もいますが、それでは遅過ぎます。糖尿病の前兆にあらわれる症状をチェックして事前に予防しましょう。
糖尿病の本当の怖さは合併症の併発に
正しい食事療法・治療を行い適切な血糖コントロールしましょう。
大切なのは糖尿病を事前に予防すること
上記の通り糖尿病の恐ろしさは合併症にあり、合併症にならない血糖コントロールを続ければリスクが防げる、と考えられていましたが、20世紀末から新たに研究が進んでいる「複合生活習慣病」のメカニズムでは、糖尿病から合併症という流れに加え、糖尿病予備群から動脈硬化という危険があることが指摘されています。高血糖の状態からも心筋梗塞は起き、最悪の場合は、死にいたる場合もあります。
複合生活習慣病のチェック
複合生活習慣病とは、加齢にともなう深刻な病気のひとつで、動脈硬化につながる生活習慣病を複数かかえている状態をいいます。この危険要素となるのが、肥満、高血糖、高血圧、脂質異常の4つ。そのうち3つ以上を持っていると、動脈硬化の危険城に入り、この状態をメタボリック・シンドロームと呼びます。下記の①~④の3つ以上当てはまるとメタボリック・シンドロームの注意が必要です。
①肥満
肥満をチェック
腹囲⇒男性85cm以上女性90cm以上
一般的に使われる肥満度を判定する体格指数BMIは用いず、おへその高さの腹囲で測定します。
②高血糖(糖尿病)
高血糖(糖尿病)をチェック
空腹時血糖値⇒110mg/㎗以上)
糖尿病と診断されるのは、空腹時血糖値126mg/㎗以上です。110mg/㎗以上は「境界型」、いわゆる糖尿病予備群から危険領域です。
糖尿病と血糖値の関係
私たちの生命活動は、血液中のぶどう糖をエネルギー源としています。この物質は、食物から体内に取り込まれる「炭水化物(糖質)」という栄養素をもとに作られます。そのため、炭水化物(糖質)は食事をしてしばらくすると血液中に増え出し、エネルギーとして利用されることで減少していきます。そして、食事をすると再び上昇するということを繰り返しています。つまり、この「血糖」の血液中の量を示す数値「血糖値」は、一定の範囲内でつねに上下しているのです。健康な人の血糖値は、食事直前のもっとも低いときで70mg/㎗、食後のもっとも高いときでも140mg/㎗未満にとどまり、この範囲の中で変動しています。ところが、糖尿病患者の場合、軽い場合でも食前で120~130mg/㎗程度、食後で200mg/㎗くらいまで上昇してしまいます。また、重症の患者になると、空腹時の低いときでも200mg/㎗、食後の高いときには300mg/㎗を超えてしまいます。血糖値が160~180mg/㎗くらいまで高くなると、血液中のぶどう糖が尿へと漏れ出てしまいます。その結果、尿からぶどう糖が検出(尿糖)されるようになるのです。この状態を糖尿病といいます。
③高血圧
高血圧をチェック
最大血圧⇒130mmHg以上または、最小血圧⇒85mmHg以上
一般的な高血圧領域は、140mmHg/90mmHg以上です。血圧も、境界型的な数値から危険度が生まれます。
④脂質異常
脂質異常をチェック
中性脂肪⇒150mg/㎗以上または、HDLコレステロール⇒40mg/㎗未満
「悪玉」のLDLコレステロールに比べると、中性脂肪とHDLコレステロールのほうが、
他要素との関係が強いため、このどちらかでみます。