糖尿病

糖尿病と外食

外食は過食・偏食の原因になります。食事療法を行ううえで、外食とどう付き合っていくかは、とても重要な問題です。糖尿病と外食の関係について紹介していきます。

外食から身を守る為に

外食・焼き肉
根気よく食事療法を続けることで、基本的なことは自然と身につくものです。基本が身についたら、次に挑戦するのが外食(テイクアウトやインスタント食品を含む)に関してです。外食では、料理内容があらかじめ決まっているので、思うようにコントロールできない点がたくさんあります。いかに上手に外食をとるかが、食事療法を成功させる鍵といえるかもしれません。まず、外食で食べた料理にどのような食材が使われているかなど、中身をよく知ることです。そのためには、日ごろから自分で調理をし 「どんな料理にどんな食材がどのくらい使われているか」の目安をつけられるようにすることです。高カロリー食があふれている現在、自分に合ったメニューを選び、健康を守るために出された料理を残すなどはいたしかたないことといえます。外食するときは、注文した料理を見て、「どんな食材が、どのくらい使ってあるか」がわかるようになっておきたいものです。

家庭の食事と外食との違い

野菜が少ない

野菜は値段のわりに見栄えのしない食材であるために、外食ではあまり積極的には使われません。特に、生野菜は一見多いように見えて、実際には意外なほど少量です。

味付けが濃い

一般的に「薄味=おいしくない」という先入観があるので、外食は家庭料理よりも味が濃いのが普通です。糖分が多ければ血糖値を上げますし、塩分が多ければ血圧を上昇させます。

脂肪が隠れている

脂肪は食べ物をおいしく感じさせるので、外食では見えないところに使ってあることが多いものです。また、霜降り肉やトロ、ひき肉など、脂肪が多い食材を使うことが多いのも外食の特徴です。

全体の量が多い

量が少ないと「損をした」という印象を与えてしまうため、必要以上に量が多いという特徴があります。注文しすぎに注意しましょう。

主な外食カロリー(目安)一覧

※お店によって若干数値は異なります。大体の目安として考えてください。

カロリー(kcal)②脂質(g)③コレステロール(mg)④食物繊維(g)

ざるそば

340kcal②2.6g③0mg④5.0

たぬきそば

438kcal②8.1g③28mg④5.3

天ぷらそば

586kcal②17.3g③138mg④6.0

きつねうどん

398kcal②12.3g③3mg④2.6

カレーうどん

579kcal②16.8g③40mg④2.8

カロリー(kcal)②脂質(g)③コレステロール(mg)④食物繊維(g)

刺身定食

605kcal②8.8g③68mg④5.7

さばのみそ煮定食

755kcal②23.9g③63mg④6.3

しょうが焼き定食

829kcal②29.3g③168mg④5.9

握り寿司・竹

907kcal②38.9g③66mg④6.2

ちらし寿司・竹

470kcal②10g③270mg④1.8

天丼

721kcal②18.2g③155mg④2.3

カツ丼

840kcal②36.6g③277mg④2.7

牛丼

632kcal②21.5g③67mg④3.4

うな重

792kcal②31.8g③240mg④3.7

カロリー(kcal)②脂質(g)③コレステロール(mg)④食物繊維(g)

幕の内弁当

802kcal②20.7g③176mg④3.8

さけ弁当

604kcal②13.0g③44mg④3.0

とり唐揚げ弁当

748kcal②33.8g③111mg④2.8

焼肉弁当

836kcal②30.0g③58mg④3.8

カレーうどん

688kcal②18.5g③29mg④3.4

カロリー(kcal)②脂質(g)③コレステロール(mg)④食物繊維(g)

しょうゆラーメン

419kcal②5.0g③11mg④3.8

みそラーメン

537kcal②8.2g③11mg④6.0

チャーシューメン

605kcal②10.1g③45mg④5.4

タンメン

487kcal②8.9g③13mg④7.5

五日そば

701kcal②27.4g③179mg④5.8

カロリー(kcal)②脂質(g)③コレステロール(mg)④食物繊維(g)

レバニラ定食

730kcal②25.9g③344mg④5.3

酢豚定食

780kcal②37.5g③126mg④7.1

餃子ライス

724kcal②23.9g③156mg④5.6

チャーハン

769kcal②29.8g③292mg④2.9

中華丼

707kcal②27.5g③90mg④4.0

カロリー(kcal)②脂質(g)③コレステロール(mg)④食物繊維(g)

ステーキセット

1010kcal②47.4g③140mg④4.4

ハンバーグセット

920kcal②41.7g③330mg④4.5

カレーライス

763kcal②35.6g③49mg④3.7

カツカレーライス

920kcal②49.3g③88mg④3.2

オムライス

840kcal②37.1g③380mg④2.4

カロリー(kcal)②脂質(g)③コレステロール(mg)④食物繊維(g)

ナポリタン

708kcal②34.5g③80mg④4.8

えびグラタン

650kcal②34.5g③152mg④3.1

ミックスサンド

462kcal②24.2g③28mg④2.6

ホットドッグ

447kcal②24.1g③57mg④1.8

ハンバーガー

269kcal②11.9g③39mg④2.6

外食・インスタント食品に対する対処法

単品は避けて定食を選ぶ

とんかつ定食
外食では、ラーメンやざるそば、スパゲッティなどのめん類、すし、チャーハン、カレーライス、カツ井などの「主食に味が付いた単品もの」を選んでしまうことが多いようです。そこには外食は使われている食材がわかりにくく、食品交換表に換算するのが困難だという理由があるようです。確かに、単品に使われている食材は種類が少ないので、カロリー計算は簡単かもしれません。しかし、食材が少ないということは、栄養素が偏っているということでもあります。また、食材の少なさからもの足りなさを感じやすく、それをカバーするために量が多くなるのが普通です。そのため、単品のほとんどは 「栄養バランスが偏っていてカロリーが高い」という、食事療法には最悪のパターンになっているのです。一方、定食は主菜、副菜、汁ものがつきますから、必然的に多くの食材が使われます。バランスを意識してつくれる家庭料理の程ではないですが、単品に比べると栄養バランスはとれています。最初はカロリー計算が面倒かもしれませんが、いくつかのパターンで覚えてしまえば、意外に単純だということがわかってくるはずです。定食でも、なるべく主菜が油で揚げていないものを選ぶこと、日替わりで違うう定食を食べること、定食を食べる店を数店確保しておくことなどを心がければ、比較的バランスのとれた外食をすることができます。

テイクアウト食品がカロリーオーバーの原因に

弁当
最近、急増しているのがテイクアウト食品です。ファーストフード、デパートやスーパーマーケットの総菜売り場で買ってきたものを家で食べるので、外食と内食(家庭で調理する食事)の中間で「中食」という言葉も登場するほど市民権を得ています。テイクアウト食品は、作ってから食べるまでの時間を考慮して、食中毒を防止するために高温で揚げてあるか、味付けを濃くしてあるものが多いようです。その結果、高カロリーや高塩分になってしまいます。テイクアウト食品は、糖尿病患者向けに作られたものではないので、どうしても利用する場合には、テイクアウト食品の特性を十分に知ってしおくことが必要です。テイクアウト食品は、糖分も塩分も脂肪分も全体の量も多く、健康な人でさえカロリーオーバーをまねくことが多いです。ですから、糖尿病の人が残さず食べてしまっては、いけません。とくに、弁当類は、唐揚げや豚カツなどの揚げものはもちろんのこと、のり弁当やさけ弁当などといった一見低カロリーに思えるような弁当でさえ、全部を食べてしまうと1日の指示単位の半分近く (8~10単位)をとってしまうこともあります。テイクアウトの弁当を利用食べる時には、ごはんを半分残し、主菜でない揚げものは食べないようにします。揚げものが主菜の場合には、衣を半分くらい取り除いてから食べるとよいでしょう。

インスタント食品は栄養成分、食材表示を確認する

インスタントラーメン
「生の状態で重さをはかる」ことが、糖尿病の食事療法の基本です。しかし、インスタント食品やレトルト食品、冷凍食品、調理済み(半調理済み)食品などは、生の状態の食品がどのくらい使ってあるのか見当がつきませんので、単位数、食品交換表のどの表に入れればよいのかがわかりません。なので、糖尿病の人は、このような食品を食べないことが原則なのですが、外食同様、こうした食品などを抜きにしては現代人の食生活は成り立たないといっても過言ではありません。どうしても、これらの食品に頼らざるをえないときには、包装材に表示されている栄養成分をチェックしましょう。どのような栄養素がどのくらい含まれているかがわかります。糖質や脂質、たんばく質など、あるひとつの栄養素に偏っているものを食べてしまうと、他の食事とのバランスがとても難しくなります。最近では、栄養成分の表示だけでなく、食材表示をしてあるインスタント食品も増えてきました。こうした「中身のわかるもの」をなるべく選ぶようにしましょう。そして、インスタント食品を食べるような食習慣が、糖尿病を招く一因でもあるわけですから、「可能な限り控える」という基本姿勢は守らなくてはいけません。

甘味飲料は飲まない

スポーツドリンク
糖尿病患者にとって意外な落とし穴になるのが、飲み物です。何気なく飲んでいる缶ジュースや缶コーヒー、炭酸飲料を「食事」と考える人は少なく、1日の指示単位から落としてしまいがちです。なかには、食事をきちんとコントロールし、運動もそこそこに実行しているのに、体重が落ちず血糖値も安定しない人が時々います。その原因が、甘味飲料であることも少なくありません。糖分をカットしていない甘味飲料の場合、1本で「ごはん1杯分」とほぼ同じカロリーがあるものが多くあります。カロリーが高いことと同時に、大量の糖分が一挙に体内に入ってしまうことが大きな問題なのです。それは、血糖値が急激に上がってしまうからです。 食品交換表では、天然果汁100%のジュースであってもくだものとは別に「し好食品」として分類してあります。糖尿病患者は、ウーロン茶や緑茶などのノーカロリー飲料、人工甘味料などを使った超低カロリー飲料、ミネラルウォーター類で水分補給をするのが基本です。また、スポーツ飲料も風邪をひいて高熱があるとき、嘔吐や下痢をしたとき、脱水状態を予防するとき、1時間以上継続して運動をしたときなど、必要に応じて飲むようにしましょう。「甘さ控えめ」などあいまいな表示の飲料のなかには意外にカロリーの多いものがあるので、注意が必要です。