糖尿病

糖尿病の合併症について

糖尿病が続くと、体の各所に合併症が現れます。足の切断や血液透析を余儀なくされる人もいます。3代合併症をはじめとする糖尿病の合併症について紹介していきます。

糖尿病の恐ろしさほ合併症にある

自覚症状がないままに放置すると合併症があらわれる

糖尿病の初期には、自覚症状がほとんどあらわれず、治療せずに放置している人が少なくありません。「治療をしない」というより「糖尿病であることを知らない」といったほうがいいかもしれません。だからといって「症状がないから、悪くなっていない」というわけではありません。放置したままにしておくと、さまざまな合併症が出てきます。糖尿病の代表的な合併症には、「糖尿病腎症」「糖尿病網膜症」「糖尿病神経障害」三つがあり、これらを3大合併症といいます。これ以外にも、重大な合併症として「動脈硬化」があります。いずれも、高血糖状態が長く続くことによって、血管が傷めつけられたり、神経が傷害されたりする結果、発病する病気です。早期に発見し早期に治療しないと、人工透析という金銭的にも時間的にも負担がかかる、つらい治療を受ければならなくなったり、最終的に失明したり、神経障害によって足の一部の組織が死んでしまう壊疸によって足を切断しなくてはならなくなったりという、など全身がむしばまれる過程をたどります。また、糖尿病の人に早い年齢から起こる動脈硬化は、「心筋梗塞」や「脳梗塞」などの自由と命にかかわる重大な病気をまねきます。しかし、適切な血糖コントロールを行い、さらに血圧、コレステロールや中性脂肪を適正に維持していれば、合併症は予防できます。糖尿病治療のもっとも重要な目的は、合併症の予防だといっても過言ではありません。

失明原因の第1位は糖尿病網膜症

厚生労働省の「視覚障害の疾病調査研究」によると、成人後の中途失明の第1位を糖尿病網膜症が占めます。(2位は緑内障、3位は白内障)

透析の導入原因の4割が糖尿病腎症

日本透析医学会の調査によると、2003年に透析療法を導入した患者数は、全国で約3万4000人。そのうちの41.0%が糖尿病腎症を原因としています。2位は慢性糸球体腎炎です。

糖尿病がもたらす3大合併症(慢性合併症)

合併症は、細い血管に起きる細小血管症と、大きな血管に起こる大血管症に分かれます。糖尿病の3大合併症は、細小血管症に属します。

糖尿病網膜症

目の奥側にある網膜の毛細血管に、小さな血管のこぶができ、眼底出血を起こします。自覚症状の乏しさから放置されることも多く、増殖網膜症に移行し、突然の大出血から失明にいたります。

糖尿病腎症

腎臓のろ過作用を担う糸球体に異常が起き、血液中の老廃物を尿として処理できなくなり、腎不全におちいります。生命を維持するために、定期的に血液透析を行う生活になります。

糖尿病神経障害

最も頻度が高く、早期に現れる合併症です。高血糖が続くと、ソルビトールという物質が作られ、これが神経細胞にたまることで神経障害が起きます。皮膚の潰瘍や壊痕、便通異常やEDを引き起こします。

その他の合併症

動脈硬化

少し前までは、糖尿病になって10年ほどすると動脈硬化が起こるといわれていましたが、メタボリツク・シンドロームの危険要素にあるように、予備群にもリスクは潜みます。

高血圧

合併症とはいえないですが、糖尿病の人は高血圧の症状をともないやすく、メタボリツク・シンドロームの要素をもうひとつ抱え込むことになります。

足の壊痕

神経障害や血流の悪化により、潰瘍や壊痕が起こりやすくなります。感覚も鈍化するた
め異常に気つきにくく、手遅れになると最悪切断することになります。

合併症の予防

定期的な検査で病状を正確に把握

糖尿病自体は、食生活や運動などの生活習慣をコントロールしたり、薬を正しく用いることで、十分に改善する可能性があります。上手に血糖コントロールを行えば、健康な人とほとんど変わりのない生活を送ることができます。しかし、合併症は、食事や運動で治すというわけにはいきません。その治療には膨大な時間と費用が必要となりますし、日常生活が大きな制約を受けることになります。そのあげくに、深刻な結果をもたらす恐れもあります。ですから、合併症を発症してしまうほど糖尿病が進行するのを防ぐためにも、定期的に検査を受けることで病状を正確に把握し、良好な血糖コントロールを心がけることがなによりも大切になります。